あらゐけいいち動画「【アニメ】丑三つ時の雨宮さん」の元ネタまとめ
あらゐけいいち動画「【アニメ】丑三つ時の雨宮さん」
こちらの動画の背景ネタについて考えていきたいと思います。
※動画時間0:48の元ネタは全て判明していません(詳細は後述)。
元ネタに関して知っている箇所がありましたら、情報を頂けると助かります!
⓪「雨宮さん」の初出
雨宮さんは、今回の動画が初の登場ではありません。
初出は、あらゐ先生が『月刊ニュータイプ』誌上にて毎月連載している半ページ漫画『天国』内の一企画「雨宮さん」シリーズでした。
漫画の「雨宮さん」シリーズは、『月刊ニュータイプ』の2017年8月号~12月号にかけて、全五話発表されています。
全五話のエピソードタイトルは以下の通り。
2017年8月号「雨宮さん」
2017年9月号「雨宮さん② 一人暮らし」
2017年10月号「雨宮さん③ バイク通勤」
2017年11月号「雨宮さん④侵略調査隊」
2017年12月号「雨宮さん⑤職場」
「丑三つ時の雨宮さん」は、第二話「②一人暮らし」を元にしています。こちらの話もまた、丑三つ時に目を覚ました雨宮さんが、可愛いオバケに遭遇するという物語になっていました。
①本編0:12
「雨宮ハウス」の看板ロゴマークが、「ステーキ宮」の旧ロゴマークになっています。
②本編0:20
・机の左端に置いてある本はカート・ヴォネガット『猫のゆりかご』(和田誠の装丁)。『猫のゆりかご』は、『日常』3巻や9巻においても引用されていました。
あらゐ先生のヴォネガットへの思いについては以下の記事参照。
【英文記事翻訳】ギャグ漫画の傑作『日常』は、タランティーノの「失敗作」から着想を得ていた - お前はあらゆる頂上の深さである
日常9巻で麻衣ちゃんが読んでいた本(沈む豪華ヨットからフランクが見たのは〜)を特定しました。
— 「あらゐけいいち全作品研究」草稿残りCITY10~最新巻・動画・索引・年表を作り完成稿を仕上げ夏発刊 (@kumomajin) 2015年11月30日
カート・ヴォネガット『猫のゆりかご』です。 pic.twitter.com/N2xYCZptsK
・机の真ん中に置いてあるのは「あらゐけいいちの立体」から「ゆめたまご」(ただし、商品版に付属している少女のキャラクターの姿はなし)。
・机の右端に並べてある本は、『学研まんがひみつ/伝記シリーズ』。最新版ではなく、主に1970~80年代に発行されていた旧版を描いています。赤い背表紙が特徴的ですね。左から順に、「切手のひみつ」「一休」「ライト兄弟」「2年生の算数のひみつ」「キュリー夫人」「エジソン」「ようかい」。
・画面右に描き出されているペンギンは「グリコペンギン」。れっきとしたあらゐ先生のキャラクターですが、元ネタは名前の通り、グリコのおまけとして付属していたペンギン(星のペー)の食玩でした。
③本編0:38~0:41
・PLUSH TOY→「テルテル坊主」のデザインぬいぐるみを抱えているのは、「雨」宮さんという名前からの連想でしょう。前の場面’(0:29)の電灯の紐にテルテル坊主をぶら下げているのも同じ理由から。
・Japanese Armer→鎧に雨雲の家紋が入っているのも、ぬいぐるみと同じく「雨」宮さんだからだと考えられます。
・MANJI-KABURA→『風来のシレン』シリーズに登場する武器「剛剣マンジカブラ」が元ネタ。ただし『シレン』シリーズに登場するマンジカブラとは異なり、鍔の部分が分かりやすい卍型にはなっていません。あらゐ先生の『シレン2』への思い入れについては、雑誌『コンティニューvol.59』掲載の「千年王国」参照。
・KSC M11A1→エアソフトガン。amazonの商品ページにある「KSC M11A1 HW 18歳以上ガスブローバック」掲載の写真をそのまま模写する形で、イラストを描いています。
・Red bull→飲み終えた後、雨宮さんの背中に一瞬だけ翼が生えたイメージが見えるのはレッドブルのキャッチコピー「翼を授ける」から。
④本編0:44
・消火器が「鳶口」になっています。鳶口は江戸時代に、火災の消防活動に用いられました(鳶口で出火した周りの建物を破壊することで延焼を防いだ)。現代の噴射式の消火器の代わりに、旧時代の鳶口が置いてあるというギャグになります。
・壁のシミにオバケのキャラクターが浮かび上がっています。この後に登場するオバケの伏線でしょう。左上のタラコ唇は「オバケのQ太郎」、その隣は「ねないこだれだ」、真ん中は「おばけのホーリー」、右下は「ゴーストバスターズ」、右上は「おばけのキャスパー」でしょうか。
⑤本編0:48
・元ネタ探しの最難関ポイントになります。特定できていない書籍もありますが、ひとまず判明している範囲内で見ていくことにしましょう。
特定することのできた書籍は「□」で塗りつぶしています。
他の単行本・書籍に関する情報を募集しています!
(1)漫画系
・猫部ねこ『きんぎょ注意報』1巻(新装版ではなくオリジナル版の表紙)
・藤子・F・不二雄/藤子不二雄A『UTOPIA 最後の世界大戦』(小学館クリエイティブの復刻版)。表紙に描き出されている少年とロボットは、あらゐが2014年に発表した「ぐんま県民マラソン」イラストにも登場していました。
・手塚治虫『新寶島』(文庫版ではなくオリジナル版)
玖保キリコ『いまどきのこども』1巻
(2)小説系
・一番左はエーリッヒ・ケストナー『エミールと探偵たち』。新版だと『エーミールと探偵たち』になっているので旧版の岩波少年文庫(1974刊)でしょう。
・その右側にある横に倒れた二冊の本は吉野源三郎『エイブ・リンカーン』とサカリ・トペリウス『星のひとみ(これは若干怪しい?)』。どちらも岩波少年文庫つながりです。
・『エイブ・リンカーン』の上に乗っかっている本は不明。背表紙から判断する限り、おそらく「岩波少年文庫」発の小説で、「少しだけ見えている表紙イラスト」がヒントになりそうですが…
・内田百閒『サラサーテの盤』(単行本)
内田百聞『冥途』(画・金井田英津子)
・ギャビン・ライアル『深夜プラス1』
井上ひさし『ひょっこりひょうたん島1 ライオン王国の巻(上)』ちくま文庫
・水野良・安田均『ロードス島戦記』(題名ロゴの配置的に、1988年刊行の角川スニーカー文庫旧版だと考えられます)。
『江戸川乱歩全集〈第2〉パノラマ島奇談』 (1969年刊行)
松本清張『空の城』
(3)エッセイ・洋書系
・五木寛之『こころの天気図』
・東海林さだお『キャベツの丸かじり』
・里見真三『賢者の食欲』
沢田允茂『考え方の論理』
長谷川七郎『現代産業美術』
「季刊 水墨画 No.7 松の描法」
Case Study Houses (Taschen 25th Anniversary Special Editions)
⑥本編0:56
・画面右側にある仮面は『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』より「ムジュラの仮面」。
⑦本編1:02
・くいしんぼうゴーストが手にもっているのは、「イトー製菓のバタークッキー」。『CITY』2巻「第18話」の中にも同じバタークッキーが登場しています。