『4コマnanoエース』(以下、『なのエース』)は、2011年に角川出版社が創刊した4コマ漫画雑誌です。
そして、『なのエース』の初期(vol.3以降)に、目玉付録の一つとして付いてきたのが『日常』「コラボポスター」です。
これは、『日常』の作者あらゐけいいち先生/アニメ『日常』を手掛けた京都アニメーション以外の漫画家・イラストレーターが、公式で二次創作イラストを手掛けるという企画でした。
一般に、漫画アニメのコンテンツにおいて、原作者以外のさまざまな方がイラストを手掛けるという企画は、それほど珍しくはありません。
しかし、『日常』の二次創作を他の作家が公式で行うアンソロジー的な企画は、現在の目から見ると物珍しく思われます。
何故このような企画が行われたのでしょうか。
当時(2011年)の角川書店は、『日常』を『ハルヒ』『らき☆すた』『けいおん!』に続く京都アニメーション発のアニメとして売り出すべく、メディアミックス展開に大きく力を入れていました。
ですから、同じ販売戦略を取ろうと考えて、コラボポスター企画を進めていたのでしょう。
そもそも、『なのエース』は、アニメ化を果たした『日常』のメディアミックス展開を後押しするために創刊された(少なくとも人気の後押しが目的の一つだった)雑誌でした。
その意味で、コラボポスターという発想が出てきたのはむしろ自然なことでした。
また、ポスターイラストを担当した人選を見てみると、『少年エース』系列のKADOKAWA作家が案外少なく、『きらら』系列の芳文社作家が多いことに気づかされます。
『なのエース』は「4コマメディアミックス誌」として始まりました。
ですから編集部は、『きらら』系列の4コマ漫画家を連載陣に加えようと考え、コラボポスターに作家を起用して、購読者の反応を窺うといった目的もあったのかもしれません。
(実際に、芳文社で連載を持っていた漫画家が、コラボポスター掲載後、角川系列の雑誌で連載を開始している事例がいくつか確認できます)
以下、『なのエース』のどの号に、どの作家さんがコラボポスターを担当していたのかまとめています。
(画像は拾い物です。然るべき関係者から指示があれば、すぐに削除等の対応を取らせていただきます。)
ご参考までに。
Vol.3 大沖
後に「電撃大王ジェネシス」で『わくわくろっこモーション』
出版社というよりは、あらゐ先生の友人という繋がりから抜擢されたのかもしれません。
Vol.3 異識
芳文社『あっちこっち』
後に「電撃だいおうじ」で『ゲーメイト』
Vol.5 高野うい
成年誌中心。
『コンプティーク』が『日常』に乗っていたのと同時期、同雑誌に『HoneyComing』を連載していました。
Vol.5 さめだ小判
成年誌中心
Vol.8 あっと
MF『のんのんびより』
『のんのんびより』がアニメ化するのはこのポスターの約二年後になります。
Vol.8 原悠衣
Vol.9 すか
芳文社『ひろなex』
後に「なのエース」で『空の休息』連載
初めて「なのエース」作家がポスターを担当しています。
Vol.9 得能正太郎
このポスター製作の約一年後に芳文社『NEWGAME!』連載開始
アニメ化が四年後なので、この作家さんが認知度を上げるのは少し後のことですね。
Vol.11 なぐも。
芳文社『ウォーターガールズ』
Vol.11 銃爺
ニトロプラス作品や『文豪ストレイドッグス』のコミカライズ
Vol.12 こむそう
Vol.12 水薙竜
初めて芳文社・角川に由縁のなさそうな作家が起用されています。
どういう繋がりで起用されたんでしょうね。
Vol.13 なまにくATK
Vol.13 高内優向
「ケロケロA」にて『それいけ!桃太郎電鉄』
Vol.14 kona
芳文社『こいこいドロップ』
Vol.14 ms
芳文社『少女公団アパートメント』
Vol.15 カヅホ
Vol.15 長浜めぐみ
Vol.16 鈴木小波
「ケロケロA」にて『ネットゴーストPIPOPA』
Vol.16 八色
芳文社「バミれ、みどりちゃん!」
Vol.17みずのもと
「なのエース」にて『あなざーデッドマン・ワンダーランド』
Vol.17 むねきち
「なのエース」にて『ヒマん娘』
Vol.19 TAGRO
角川書店との繋がりは後の『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』。
出版社というより、あらゐ先生と親交のある漫画家として選ばれたのかもしれません。
Vol.19 はりかも
『うらら迷路帖』連載開始はこのポスターの二年後、アニメ化は五年後になります。