お前はあらゆる頂上の深さである

今日はお前を私が読むだろう、そしてお前は私のなかで生きるだろう

あらゐけいいち『CITY』1巻:初出情報・単行本修正箇所・その他気付いたことなど(「第1話」~「第12話」)

 

CITY(1) (モーニング KC)

CITY(1) (モーニング KC)

 

 

(※4月9日情報追加)

 

表紙:南雲が棒付きキャンディを指に携えているのは、本作の構想段階において南雲が喫煙者であったことの名残り?(キャンディ棒を煙草に見立てている?)特に関係ないかもしれない

 

「モーニング」2016年44号

/第1話「人々のCITY」

作中時間:物語開始から第1日目(土曜日)午前10時13分~昼過ぎ

 

・雑誌掲載時作者コメント(未収録)

「はじめまして。あらゐけいいちです。最近ペン入れに入ると、座卓を持ち出し、部屋の至る所で描くなどをしております。まるで旅行先で描いている様な感覚に陥り、随分とリフレッシュしております。」

 

P1、1コマ目:孔雀系統の鳥。このデザインの初出は、2012年にあらゐ先生が販売した「夏休みTシャツ」に描かれている「陽気な孔雀」「気高い孔雀」だと思われる(現在は販売終了)。

 

P1、6コマ目:CITY商店街に登場する店の名前は、ほとんどが日本百名山から命名されている。「洋食マカベ」は真壁富士、「剣のうどん」は剣岳、「肉の聖」は聖岳から。

 

P2:ここで「洋食マカベ」の隣に建っている「(株)バナナ」は第12話にて本格的に登場する。あらゐ先生の別作品である商業版「Helvetica Standard」No.34、No.73にも、同じ名称の会社が登場している。『日常』7巻P149にも似たような会社が登場するが、こちらは「(有)バナナ」となっており、建物の形も異なる。

 

P2:単行本ではナレーションの吹き出しに隠れているが、「(株)バナナ」の上階に看板を出している店舗の名前は「リーチ麻雀谷川」と「プラモホビー スカ○(残り一文字不明)」。それぞれ日本百名山谷川岳と皇海(すかい)山から命名されていると考えられる。「スカ○」に関しては、実在の模型店「スカイホビー」から採られている可能性もある。

 

P2:「戸村牛書房」の名前は日本百名山トムラウシ山から。『日常』にも登場する桜井はじめの名前の描かれたポスターが貼られている。

「読んだ?」と書かれているポスターは、かつて新潮文庫が行っていたキャンペーン「Yonda?」が元ネタだと思われる。

「Yonda? CLUB」は今期をもって終了いたします。 | 新潮文庫メール アーカイブス | 新潮社

 

P3:「洋食マカベ」に「クモマドリ商店街クーポンキャンペーン」「エアコン冷えてます」の張り紙。第一話の時点では「バイト募集」のチラシが貼られているため、南雲がアルバイト店員として正式に採用され、南雲に制服が支給された後に張り替えられたと考えられる。つまり、このカラー口絵の場面は第1話から少し先の未来を描いていると推測される。

第10話P134に書かれている「ミタケカメラ 午月号」の表記から、第1話時点での作中時間は新暦の5月末~7月上旬であると推測できるが、「エアコン冷えてます」の張り紙があることから、このカラー口絵時点では本格的な夏を迎えていると言える?

 

・あらゐ先生が同人誌即売会COMITIAにて2006年ごろに頒布したペーパーにおいて、『日常』のキャラクターが一部のエピソードを除いて長袖制服を着続けていることに対してセルフツッコミを入れ、『日常』は常春の世界を描いているために常に長袖を着ているのだと理由付けを行っている。(2012年に放映されたクモマドリラジオの配信画像から確認。現物未入手のため、詳細は不明)

『CITY』と『日常』の物語世界が地続きであることは各場面から示唆されているが、この『日常』の「常春の世界」の季節が動き出し、『CITY』の作中時間では「夏」を迎えていることに、読み手側としては注意を払わなければならないのかもしれない。

※とはいえ、「コミック通信」に掲載された『日常』のショート漫画(『Helvetica Standard』収録)では季節のエピソードが盛り込まれていたり、アニメ版『日常』では全26話の放映を通して四季が流れていることが明確に示されていたりするので、「常春の世界」云々の設定は無かったことになっているのかもしれない。

 

P3:「安達太良ワイン」の名前は日本百名山安達太良山から。

 

P4:単行本化に際しての描きおろし。南雲の目覚まし時計が描かれているこのイラストや、P141~142での幕間ページでの時計のイラストの追加によって、本作が「CITY」内のとある一日の出来事を朝から晩まで時系列順に描いていることが強調されている。

 

P5、3コマ目:ヘドラ人形、初出はクモマドリラジオのイラストリクエストを受けて描かれたヘドラとフェっちゃんの絵を清書したもの

参考:

http://p.twpl.jp/show/orig/jaDV6

後に「少年エース」2016年2月号に掲載された『日常』番外編や「web日常」における作者自画像としても登場する

参考:

www.youtube.com

 

P5、4コマ目:スーパーマリオの「?ブロック」が置かれている。P19の4コマ目に描かれている東堂商会の家屋の中にもファミコン版準拠デザインの「スーパーキノコ」らしきものと一緒に「?ブロック」がある

 

P5、5コマ目:南雲が平らげた食事はブタメンBIGとラムネ缶?

 

P6、1コマ目:第5話に登場するモブの一人(第23話にて「蓼科神威」という名前だと判明、蓼科の姓は日本百名山蓼科山が由来だと思われる)が通行人として登場

 P6、1コマ目:「生活キャッシング シカクフク」はかつて実在した金融会社「株式会社マルフク」のパロディだと思われる。

 

P6、5コマ目:にーくらが左手に持っている袋は「TOMURAUSHI BOOK」(戸村牛書房)、第10話P134より朝一で写真雑誌「ミタケカメラ」を購入しに出掛けていたことが分かる

 

P10、1コマ目:指名手配犯の顔写真が第5話に登場するモブの一人(第8話にてマカベに来店した男性)?

 

P10、3コマ目:薬のカプセルに「FLY」の張り紙、かつてあらゐ先生が頒布した同人誌「細雪」の表紙イラストを意識している?

 

P15、4コマ目:「アベベ」=エチオピア出身の陸上競技選手アベベ・ビキラ。1960年のローマ五輪のマラソン競技に裸足で参加し、金メダルを獲得したことで話題に。南雲は常にスリッパサンダルを履いて行動しており、体育館で行うあらゆるスポーツを裸足でこなしていたことが14話にて明らかになる。

 

P28、4コマ目:「空木不動産」「火打」の名前はそれぞれ日本百名山空木岳火打山から。 

 

P29~30:幕間ページ追加、P30にて南雲がにーくらに仕掛けているプロレス技はブレーンバスターか

 

2016年45号

/第2話「南雲と新倉」

 

P32、6コマ目:履歴書の内容により、南雲は時定東高校を卒業していることが判明。第14話にて南雲はにーくらの在籍している高校から別の学校に転校している描写があることから、このときに時定東高校に移ったと考えられる

 

P34、1コマ目:第10話の描写から、にーくらが自分で撮ったブロッコリーを現像して壁に貼っている?

 

P36、3コマ目:「時定バッティングセンター」は『日常』7巻収録「日常のショート11」に登場したバッティングセンター?

 

P38、1コマ目:「スーパー大菩薩」の名前は日本百名山大菩薩嶺から。

 

P43~44:幕間ページ追加

 

2016年46号

/第3話「マカベ家」

 

P45、2コマ目:あらゐ先生の星座がやぎ座(12月29日生)だからか、立涌の他にも『日常』7巻P153にてゆっこの星座がやぎ座であることが明かされたり、「Helvetica Standard」No.73にてやぎ座の女性が星座占いのテレビを見ているなど、「やぎ座の登場人物」がたびたびよく登場する。

 

P45、3コマ目:「劇団テカリダケ」の名称が初登場、第19話と第24話に名前だけ登場する「光岳先輩」が立ちあげた劇団であること推測される

 

P45、5コマ目:単行本化に際して、まつりの顔が描き直されている

 

P46、3コマ目:雑誌「CITY誌」の名前が初登場

 

P48、4コマ目:笑いのツボに入った人物の後ろに壺が描かれる表現は、『日常』1巻収録「日常の6」でも見られる

 

P55~56:幕間ページ追加

 

 

2016年47号

/第4話「本官」

作中時間:第1日目(土曜日)午後3時ごろ (P64の南雲の時計より)

 

P57、2コマ目:イメージが何も浮かばない図は『まんが道』が元ネタ?特に関係ないかもしれない。

 

p59、1コマ目:「九重呉服店」「占い四阿」の名前はそれぞれ日本百名山九重山四阿山から。

 

P60、6コマ目:警官帽の鍔の裏に書かれた「ONE FOR HONKAN HONKAN FOR ONE」は、『日常』6巻収録「日常の94」のフェイ王国隊長の帽子に書かれた「ONE FOR ALL ALL FOR ONE」が念頭にある?

 

P64、1コマ目:森田まさのりろくでなしブルース」の口

参考:

「ろくでなしBLUES」作者の森田まさのり先生!その画風が確立されていく過程をチェック!! - Middle Edge(ミドルエッジ)

 

 

p67、2コマ目:「NEWモブ」は、「月刊ニュータイプ」誌2016年6月号掲載「ドーナツ研修」の登場人物と同じ?

 

P68、3コマ目:「高校サッカーリーグ五目杯」の張り紙、「五目」という単語は『日常』に登場する「囲碁サッカー」を意識して、囲碁ないしは五目並べから採っている? このサッカーリーグの様子は第16話にて描かれることになる

 

P69~70:幕間ページ追加

 

2016年48号

/第5話「御婆」

 

P71、3コマ目:蓼科神威が着用しているTシャツの「憧れのハワイ航路」は、1948年に岡晴夫が発表した同名の歌謡曲が元ネタか。Tシャツの裏面に書かれている「横浜―ホノルル―サンフランシスコ」は戦前のハワイ航路。

www.youtube.com

 4月2日に開催された『CITY』1巻発売記念のあらゐ先生サイン会でも会場で流されていたという情報をいただきました。

 

 

P75、7コマ目:御婆が目に見えない速度で16発攻撃を放つネタは『幽遊白書』の「一瞬で16回斬り付ける飛影」が元ネタ?

あるいは、1秒間に16連射する高橋名人が念頭にあるのかもしれない。

 

P76、3コマ目:地面に犯人の似顔絵を描くネタは同人版『Helvetica Standard』No.3のセルフオマージュ?

 

P76、5コマ目:南雲の私有物の本「最強の系譜」…出典不明、詳細をご存知の方があればお教えください。

 

P80、1コマ目:凶相を浮かべる御婆の表情は藤田和日郎漫画が元ネタ?

 

p82、5コマ目:電卓の名称「AMAKAZARI」は日本百名山雨飾山が由来だと思われる。「DNTK」はそのまま電卓。

P82、5コマ目:買い取り価格がマイナスになるネタは、同人版『Helvetica Standard』No.36のセルフオマージュ?

 

P83~84:幕間ページ追加

 

2016年49号

/第6話「泉わこ」

 

P86~89:あらゐ先生が同人誌即売会COMITIA100にて頒布した短編漫画「46-spring①」の冒頭場面のセルフオマージュ

 

P87、4コマ目:制服の校章である一つ眼のエンブレムは、商業版『HelveticaStandard』に登場する「目頭高校」のものによく似ている。何らかの関係があるのかもしれない。

第25話で鬼カマボコ先生が着用しているTシャツ「MONOEYE」とも関連性が見出せる?

 

 

P87、4コマ目:ここで描かれている二人の友人との交流は現在に至るまで続いていることが、第18話にて明らかになる

 

P87、5~7コマ目:河島英伍の歌謡曲「時代遅れ」の歌詞の引用

 

www.youtube.com

 

P87、5コマ目:「ラッコ正宗」、第8話P113~114でもドンペリの一種として「ラッコペリニョン」が登場するため、「ラッコ」シリーズが酒の銘柄として流通していると推測される

 

P90:あらゐ先生が前にアップロードしたイラストのセルフオマージュ

(参考):

祝詞 on Twitpic

神様 on Twitpic

P91、1コマ目:「現実とはとかくチビシーものなのである」は鬼カマボコ先生の作中作「落胆くん」に登場する台詞であることが第12話で明かされ、第17話でも再登場する

 

P93、1コマ目:南雲とにーくらも住んでいるアパート「モクメセイ荘」の名前が初登場。「モクメセイ」の由来は「木目生」、つまり『日常』の「相生」姓と関係がある可能性が高い。御婆は『日常』にも登場する「ゆっこ母」その人であり、第一話で遠方に出払っている描写のある真壁家の母親はゆっこ本人かもしれない?

 

P93、6コマ目:部屋に貼られているポスターの絵柄…詳細不明

 

P96~97:幕間ページ追加

 

 

2016年50号

/第7話「203号室」

 

P98~101:セリフが全面的に変更されている

初出時

P98、2コマ目

「しうかん

連載は」

「私にはやっぱり

無理なんです」

4コマ目

「センセーなら」

「出来まぁす」

6コマ目

「なにか

面白い話……」

「して下さい

…………」

P99、3コマ目

「…………

ひとつあります」

P101、6コマ目

「…………」

「ひとつあります…」

 

P99、1コマ目:鬼カマボコ先生の作中作「落胆くん」のキャラクタービジュアルが初登場。『日常』4巻17ページ3コマ目に描かれているキャラクターと同一人物?

https://pbs.twimg.com/media/C77SZnDVAAEUZl-.jpg

 

 

P105~106:幕間ページ追加

 

P111、6コマ目:南雲に対する「お前はピュアか!」という指摘は第10話P140でもくり返されることになる。

 

2016年51号

/第8話「固焼きそば」

 

P114、5コマ目:単行本化に際して、南雲の瞳にベタ塗り追加

 

P117~118:幕間ページ追加

 

 

2016年52号

/第9話「安達太良博士」

 

P119、7コマ目:安達太良博士の家に飾られているオブジェは岡本太郎の作品?関係ないかもしれない

 

P120、2コマ目:初出時は「安達太良博士(あだたたらはかせ)」と誤植されていた、単行本では修正済

https://pbs.twimg.com/media/CyMIsGYUsAAQUik.jpg

 

 

P122、1コマ目:南雲と真壁父の表情が描き直されている、雑誌掲載時では目を瞑っていない

 

P128、4コマ目:画面左端の「ののドクロ」のTシャツを着ている人物は、髪型から判断するに第12話に登場する週刊CITY誌の編集長か?

 

P129~130:幕間ページ追加、P131の1コマ目の「パープー」が豆腐屋のラッパ音であることがP130の描写によって補完されている

 

2017年1号

/第10話「夢」

作中時間:第一日目(土曜日)午後6時ごろ~8時前(P133、P141の時計より)

 

P133、1コマ目:タミル文字の数字が書かれた時計。この回以降、物語世界内の時刻を表すために度々登場することになる。 

P134、3コマ目:にーくらの購入した「ミタケカメラ」に「午月号」とある、午月は旧暦の5月を指していることから、作中の時間は新暦の5月末~7月上旬であると推測できる

 

P134、5コマ目:「マイケル・J・新倉」元ネタ未確認

 

P138、4コマ目:単行本化に際して描き直されている、雑誌掲載時の構図(南雲が右、にーくらが左)が単行本では左右反転して描かれている、視線誘導の問題?

 

P141~142:幕間ページ追加

 

2017年2・3号

第11話「指南」

作中時間:午後10時20分~夜更け 

 

P145、2コマ目:南雲の台詞微修正

初出時

「バカな!」

「そんな

ヘラブナ

顔が!!」

P152:宅配便の配達員の名前「足和田」は、山梨百名山の足和田山から。

P153~154:幕間ページ追加。ここでトラックに書かれているのは「どんぐり急便」。カバー見返しに書かれているCITYの土地が書かれた地図を参考すると、「どんぐり」の名称は他の建物の名前にも使用されていることが分かる。

 

2017年号4・5号

第12話「3人の編集」

 

・「あらまさん」 は元々あらゐ先生が運営していたホームページ kumomadori の企画から生み出されたキャラクター。 2010 年 9 月 28 日に、kumomadori 上に一枚のあら まさんのイラストがあらゐ先生によって投稿され、 「みんなのあらまさん目撃情報を応募しよう!」と題 してファンに募集をかけ、後日メールフォームから実 際に集まったあらまさんのキャラ設定を先生が実際 に描き起こすという試みが行われていた。

また「月刊ニュータイプ」2011年1月号より、「Helvetica Standard」に何度も登場を果たしている。

 

P162、3コマ目:「長野原大介」は『日常』に登場する長野原みおのペンネーム。『日常』でのみおは、BL雑誌「CIEL」(KADOKAWA)をもじった雑誌「AIEL」に漫画を投稿していたが、本作では「超ドメジャー」作家に転向している?

 

P162、5コマ目:「CITYの夜はふけていく」というナレーションによって、ちょうど単行本1巻分でCITYの朝から夜までを描き終えたことを改めて強調している。次回の第13話は、南雲が目覚める翌朝の場面から始まっている。

 

P163:幕間ページ追加

南雲とにーくらが行っているのは花札

 

カバー見返しの地図

・「祖母鉛筆」の名前は、日本百名山祖母山から。

・「今倉製紙」の名前は、山梨百名山の今倉山から。

・「荒島寺」の名前は、日本百名山荒島岳から。3巻収録分の宝の地図にも名前が登場している。