あらゐけいいち『CITY』2巻:初出情報・単行本修正箇所・その他気付いたことなど(その1:「第13話」~「第18話」)
「モーニング」2017年6号
第13話「マカベェ」
作中時間:物語開始から第2日目(日曜日)午前8時36分~午前中
・『CITY』1巻では、南雲が朝目覚めてから(第1話)深夜に至るまで(第12話)の出来事を、時系列順に追った形でエピソードを構成していた。
2巻でもやはり、南雲が目覚めてから(第13話)次の日の夕方まで(第25話)までの出来事を、ほとんど時間軸に沿った形で描いている。
3巻収録予定分もまた、南雲たちが朝目覚めるエピソード(第26話)から始まっており、あらかじめ単行本構成を意識して物語が描かれていることがよく分かる。
P2、4コマ目:「SNQ」は『日常』にも登場するスナック菓子。
単行本化に際して、南雲が腰に掛けているタオルに「酒の安達太良」のロゴが追加。
P3、6コマ目:単行本では、南雲の瞳にハイライトが追加されている。
P4、2コマ目:単行本では、わこのスカートのカラーリング変更、雑誌掲載時はやや暗めのターコイズブルー。
P4、4コマ目:単行本では、わこの表情が描き直されている、雑誌掲載時は台詞が「おーっ」で、言葉に合った感嘆の表情を浮かべている。また、わこの周囲に飛び交うキラキラの数が増え、背景の黄色の効果が追加されている。
P4、5~6コマ目:単行本では、「WINSウインズCITY」の看板が描き直されている。
P5、5コマ目:南雲のガラケー「SHIKAKU」、
P7、2コマ目:立涌の背番号「CITY南28」…28番は『キャプテン翼』の主人公・大空翼の背番号と同じ。あらゐ先生は少年時代に『キャプテン翼』を愛読していたため、念頭にあったのかもしれない。
P8、2コマ目:単行本にて、背景の模様追加。
P9、1コマ目:「お母さんの絵心とアバウトさ」…真壁母がゆっこだとすれば、高校生当時から画力は上達していないといえる?
単行本にて、背景の効果が追加されている。
P14、1コマ目:工具の中に「ロトのつるぎ」。
P14、6コマ目:単行本にて、南雲の表情が修正されている。雑誌掲載時では、 笑顔というよりは立涌に対して感心しているかのような表情を浮かべている。また、背景に集中線が追加されている。
2017年7号
第14話「ビューティフルバード」
P17、2コマ目:ラジオの司会者として名前だけ登場している「黒部五郎」は、日本百名山「黒部五郎岳」に由来している。中高生時代のあらゐ先生がよく聴いていたラジオ番組が『岸谷五朗の東京RADIO CLUB』であったことから、「岸谷五朗」にも掛かっているのかもしれない。
『岸谷五朗の東京RADIO CLUB』のwikiには、中学高校時代のあらゐ先生がハガキ職人「Mr.アライ」として自作コーナーを作ったという、クモマドリラジオや『StudioVoice』インタビューで話していた旨のエピソードが記載されている。
P18、1コマ目:南雲の体操着に書かれている「東南」は、南雲とにーくらの在籍している高校名の一部?
P19、1コマ目:「テニス部の那須」の名前の由来は日本百名山の那須岳から。
P19、1コマ目:南雲の応援者の一人「ギブソン」…由来不明。
P20、2コマ目:「ゲートボール部の月山(つきやま)」の由来は、日本百名山の月山(がっさん)から。
P20、3コマ目:柔道部の「甲武信」の由来は、日本百名山の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)から。
P21、2コマ目:「南雲さんの応援行こう!」と話している帽子を被った男子生徒の容姿は、ホームランバーのイメージのキャラクターの「ホームラン坊や」によく似ている。オマージュ?
第20話P95、1コマ目のモブとして左隣のメガネを掛けた男子生徒ともども再登場する。
P22、1コマ目:「伊吹(いぶ)ちゃん」の名前の由来は、日本百名山の伊吹山から。
P24、5コマ目:第13話でマカベェの着ぐるみに閉じ込められたからか、「サッカー五目杯」へと急いで向かっている立涌の姿が描かれている。
P25、3~5コマ目:にーくらの台詞が単行本では変更されている。5コマ目では怒りマークと台詞が追加され、南雲に金を盗られて怒っている様子が分かり易くなっている。
初出時台詞
3コマ目
「?」
4コマ目
「!」
5コマ目
(台詞なし)
P26、1コマ目:南雲父が読んでいる新聞の名前は「天川スポーツ」。『日常』7巻に登場する「天川新聞」系列の新聞?
P27〜28:幕間ページ描き下ろし
2017年8号
第15話「出前アタック」
P29、1コマ目:単行本化に際して、背景追加。
P29、2コマ目:西洋風の甲冑、P14「ロトのつるぎ」に続いてのドラクエネタ?
他に店に飾られている不思議な置物も含めて、真壁母(ゆっこ)が送って来た出土品の一つかもしれない。
P29、5コマ目:単行本では、南雲の表情が微妙に描き直されている。また、南雲の周囲のキラキラが追加されている。
P30、3コマ目:単行本にて、南雲の表情が描き直されている。雑誌掲載時は目が省略されている。
P30、4コマ目:出前の届け場所が交番なのは、第1話で「出前があったらよろしくね」と真壁父から頼まれた本官が、昼食の注文を早速行ったためだと思われる。
P30、5コマ目:単行本にて、南雲の表情が描き直されている。雑誌掲載時は不遜な笑顔を浮かべている。
P31、1コマ目:1巻P43~44で履歴書を持って洋食マカベの前で逡巡していた女性が再登場。P41ではサッカーの見物人の一人として再登場している。
第4話で登場したモブの一人も再登場していて、こちらはP99にてモンブラン大学にも描かれていることから、モンブラン大学の生徒の一人だと考えられる。
P32、2コマ目:単行本にて、まつりの表情が微妙に修正されている。
P32、1コマ目:第4話他で登場しているモブの一人、蓼科神威がモブとして登場。
P38、3コマ目:「肉のいしわり」の名前は、山梨百名山の石割山から。
P38、3コマ目:「八百笹」の名前は、日本百名山の黒河内岳の別名笹山?関係ないかもしれない
単行本では、「八百笹」の店を開ける人物が追加されている(雑誌掲載時では人の後ろ 姿は特に描かれておらず、シャッターが閉まったまま)、わざわざ描き足されたからには、今後本編に関わって来る可能性がある?
あるいは、物語の時系列的に、店が開いていた方が自然だと言う判断からの修正かもしれない。
髪型的にみて、P73の6コマ目に登場する安達太良ティッシュを配っている女性の可能性もある?
P39〜40:幕間ページ描き下ろし、蓼科神威とぶつかっているのは長野原大介先生。25話にて手を怪我している原因がここで明かされている。
P75、4~5コマ目にも、わこ視点から見た蓼科とみおの衝突の場面が描かれている。
2017年9号
雑誌掲載時:第16話「CITY南」
単行本収録時:第16話「CITY南イレブン」
P41 、4コマ目:スコアボードに記されているメーカー「AMAKAZARI」は、日本百名山の雨飾山から。第5話にて東堂商会の男性が用いていた電卓にも同様の名称が銘打たれているため、液晶を製作しているメーカーだと思われる。
P41、5コマ目:「苗場君」の名前は、日本百名山の苗場山から。
P41、5コマ目:1巻P43~44で履歴書を持って洋食マカベの前で逡巡していた女性が、第14話に続いてモブとして再登場している。
P43、4コマ目:単行本では、チームメイトの一人にヘアバンドが描き足されている。モブの一人を「帯那」として設定し直したのだろう。
P44、1コマ目:立涌の「天にKISSするヤツ」…ロックバンド「KISS」のロゴを意識している?関係ないかもしれない。
P45、4コマ目:左から「翔」「疾走」「紲(きずな)」「野球」と書かれている。
P45、5コマ目:「音速の末脚」…かつて日本ダービー界において活躍した競走馬、フサイチコンコルドを讃える異名が元ネタか。
P46、3コマ目:「カッポレカッポレ」…江戸住吉踊り
P47、2コマ目:「室根君」の名前は、岩手千名山の室根山から。
P52の選手紹介の項目では「根室」表記になっているが、ミスだと思われる。
P48、4コマ目:立涌のポーズ…ピンクレディーの「UFO」の振り付け?関係ないかもしれない
P51〜52:幕間ページ描き下ろし
雁ヶ腹監督…山梨百名山の一つ、雁ガ腹摺山が由来
1黒金大和…山梨百名山の一つ、黒金山が由来。帽子を被り長ズボンを履いているキーパーというデザインは、『キャプテン翼』が由来だと思われる。
2帯那…山梨百名山の一つ、帯那山が由来。
3微笑…由来不明、あだ名が「微笑」?
4、5横尾兄弟…山梨百名山の一つ、横尾山が由来。
6火野玉暴威之助…浦和レッズに所属していた山田暢久の著書名から着想?関係ないかもしれない。
7「根室」…上記の通り、室根の誤記だと思われる
8白金…由来不明
9苗場…上記の通り、苗場山から
10笹子源次郎…山梨百名山の一つ、笹子雁が腹摺山から
12権現山岩男…山梨百名山の一つ、権現山が由来
18黒部…名称不明
2017年10号
第17話「真壁鶴菱の黄昏」
P53、4コマ目:背景に「眼鏡広場」、眼鏡市場のパロディだと
P54、4コマ目:「スナックアサヨ」の名前は、アサヨ峰から採られていると思われる。
P60、1コマ目:「飽きてくる」…雑誌掲載時は、手書き文字ではなく活字フォントで「あきてくる」と表記されていた
P60、2コマ目:モロQ…「もろきゅう」のことを指している?
もろきゅう味噌|食品の委託製造・食品OEM 泉万醸造株式会社
あるいは、第13話にも登場している架空の菓子「スナッQ」の姉妹商品かもしれない。
P62、1コマ目:「オフィス千頭星」の名前は、千頭星山から。
P63、1コマ目:真壁父の辿り着いた場所は、おそらく『日常』でも度々登場していた「青春土手」だと考えられる。『日常』の舞台である時定町はCITY商店街から走って到着できる場所に近接している?
雑誌掲載時では、「はーーーーんっ!!」という真壁父の台詞が挿入されておらず、無言で青春土手を駆けている。
『日常』6巻「日常の104」では、失恋したみおが青春土手に駆けだす前に「はーーーーん」という台詞を発しているが、もしかしたら関係があるかもしれない。
第25話においても鬼カマボコ先生と轟編集が出逢う場所として、「青春土手」の場所が再登場する。
P64、1コマ目:「BANANAN COMICS 落胆くん1」に書かれている落胆くんの台詞「現実とはとかくチビシーものなのである」は、第6話や第12話にも登場している。
P64、2~3コマ目:単行本では、帰途についているわこの姿が追加されている。時系列的に見て、P76の3コマ目と4コマ目の間の出来事だろう。
P65~66:幕間ページ描き下ろし
落胆くん乱世編は『火の鳥乱世編』、青春編は『まんが道青春編(愛…しりそめし頃に)』が由来だと思われる。立身出世編はゲームソフト『つっぱり大相撲立身出世編』?
2017年11号
第18話「わこの三文」
物語時間:物語開始から第2日目(日曜日)午前8時40分~夕方、第13話とほぼ同時刻に時間が巻き戻っている
P67、 4コマ目:わこの読んでいる漫画は「落胆くん」、第17話に引き続き登場。
P68、1コマ目:イトウ製菓の「バタークッキー」だと思われる。
ベーシックシリーズ|商品シリーズ|クッキー・ビスケット専業メーカー|イトウ製菓株式会社
P68、1コマ目:掌の中に「プロビデンスの目」を嵌め込んだデザインのマグカップは、2015年のコミックマーケットにて頒布されたあらゐ先生描きおろしステッカーのイラストが原形。もっと昔のイラストにも類似のデザインが見出せるかもしれない。
P70、4コマ目:四次元殺法…キン肉マンに登場する超人、ブラックホールとペンタゴンによるタッグ名「四次元殺法コンビ」から。
P71、2コマ目:文明開化の音がする…明治初期に流行した都都逸の一節。
「半髪頭を叩いてみれば、因循姑息の音がする」
「総髪頭を叩いてみれば、王政復古の音がする」
「ざんぎり頭を叩いてみれば文明開化の音がする」
P71、5コマ目:描いているイラストは第20話にて「おばけバッジ」として加工されて再登場する。裏表紙にも登場。
P72、1~2コマ目:友人は第6話の回想にも登場する
P72、1~3コマ目:単行本では、スマートフォンに触れるわこの手が加筆されている。(単行本はスマートフォンのみ描かれている)
P72、5コマ目:P24、5コマ目に登場にて走り去る立涌の連続として描かれている。
P73、3コマ目:雑誌掲載時では、キョロン☆の「☆」に顔が描かれてスーパーマリオのスターのようになっていたが、単行本では削除されている。
P73、5コマ目:単行本では、ティッシュを配る「飛行機の安達太良」が、わこのモノローグの後ろに描き足されている。雑誌掲載時では何も描かれていない。
P73、5コマ目:安達太良の法被をきた女性…不明、安達太良家の人間?
髪型から判断するに、P38の3コマ目に登場した「八百笹」のシャッターを開けている人間かもしれない。
P74、4コマ目:わこの飛ばされた帽子が描き直されている。
雑誌掲載時では「駐輪場」の左隣にあるポスターの上にかぶさる場所に帽子が描かれおり、ポスターには「○バ○ト(○は不明)」と描かれている。
単行本では「大大大大サービスDAY」とポスターの内容が書き換えられている。
P75、1コマ目:単行本では、わこの顔が描き直されている。
P75、4~5コマ目:単行本では、蓼科と長野原大介先生の衝突の場面が描き足されている。
P76、4コマ目:片道涙の乗車券…ビートルズの楽曲「ticket to ride(涙の乗車券)」
Ticket To Ride / 涙の乗車券 (The Beatles / ビートルズ)1965 - 洋楽和訳 (lyrics) めったPOPS
P76、5コマ目:ドレミファ娘の血が騒ぐ…黒沢清監督による映画作品。南雲とにーくらの「くんずほぐれつ」の妄想から、映画の内容を連想した?
P77〜78:幕間ページ描き下ろし
(その2に続く)
あらゐけいいち『CITY』2巻:初出情報・単行本修正箇所・その他気付いたことなど(その2:「第19話」~「第25話」) - お前はあらゆる頂上の深さである